AIの知識は今後、初心者からマネージャクラスで必須になる

AIファンデーション研修受講者インタビュー

世界的に技術開発が加速しているなか、最も注目されているテクノロジーの1つがAI(人工知能)だ。

AIは自動車やスマホにも組み込まれており、既に身近になっている。そしてIT企業のみにとどまらず、医療や金融、小売など、幅広い分野で活用されている。しかし、AIに関する知識やスキルを持った人財はまだ少ないのが現状だ。AIファンデーション研修でAIに関する基本的な知識を学ぶことで、AIがもたらす効果から活用方法に対する理解を深めることができる。

株式会社DXコンサルティング社で本研修を受講した、内藤晃孝さん(CTCシステムマネジメント株式会社)、並木華穂さん(株式会社NTTドコモ)、一宮昇平さん(株式会社NTTデータSMS)の三名に活用方法、可能性を伺った。

◎AIの知識は何十年先でも役立つ

─AIファンデーション研修を受講しようと思ったのはどうしてなのでしょうか?

一宮さん:社内のDXを推進する立場として、RPAツールである「WinActor(ウィンアクター)」や、企業向けサービスマネジメントクラウドのSaaSプロバイダ「ServiceNow(サービスナウ)」などの推進と支援を行っています。

業務としては実際にAI案件に関わった経験はなく、研修などの座学等で一般的な知識を身に着けている状態です。

しかし、今後、AIは重要になって行きます。私は一般社団法人日本ディープラーニング協会のG検定を取得していますが、そこに付随する形でAIの基礎知識を身に付けたいと考えました。AIの知識は何十年先でも役に立つはずですし、その知識を業務に活かしたかったので受講することにしました。

並木さん:法人ビジネス本部の業務は、法人様が仕事で使う携帯電話のお取引が中心ですが、もうひとつ注力していることに、企業との協業があります。お客様が持っているサービスと弊社の通信を組み合わせて新しいビジネスを作って行くことに取り組んでいます。

そこではIoTと呼ばれるセンサーでデータを取り、見える化するといった案件が多いのですが、今後は可視化だけでなくデータをどう活用するかという点においてAIは必須になると考えています。しかし私にはAIの知識がなかったので、まず基礎を学びたいと考えました。

内藤さん:所属しているアプリケーションサービス部で、私はエンジニアとしてスクラッチでのシステム開発からパッケージソフトの導入まで、幅広く手がけています。

既にAI・IoTマスターコンサルタントとしてAIに関わっており、部署においてもAIやアプリケーション開発に対して力を入れて行くという方針を打ち立てているので、受講して得たさまざまな情報を後輩に伝えたいと思ったのが理由です。

また、クライアントに「AIとは何か」を説明する立場なので、体系的にAIを学んでおきたかったということもあります。

受講しての感想を教えてください。

一宮さん:3日間の研修だったのですが、意外だったのは技術的な部分よりAIの定義や倫理に比重を置いていることでした。G検定以外にもAI関連の研修は3、4回受けたことはあるのですが、そこに比重を置いている研修はほとんどありません。なのでとても新鮮に思いました。また、AI開発の進め方、プロジェクト管理にも言及されており、とてもためになりました。

並木さん:私はそのAIの定義や倫理がとても勉強になりました。SDGsや持続可能性にも触れられていており、AIでも関係するということが印象的でした。私は営業職でAIの初心者なので、技術的な部分だけを話して頂くよりもとても分かりやすい内容だったと思います。

あと、AI開発の進め方、プロジェクト管理は今後の業務に活かせると思いました。プロジェクトに参加してもらうメンバーはこういう人たちで構成するのが良いと具体的に挙げられていたので、実用的で学びになります。

内藤さん:弊社ではAIの定義や倫理はコンプライアンスにも関わってくるので社内でも啓蒙しています。しかし、現実としてはAIを導入する具体的な話だけが進み、倫理はおざなりにされがちです。やはりまだAIに対する認識はそれほど深くありません。その意味ではAIの定義や倫理が大事であるという話は納得感がありました。

 

今後の仕事で役立つと思われましたか?

一宮さん:社内で「AIはとても使いづらい」という話をすることがあります。というのは、弊社の生業である「システム運用」のなかでは100%の正確性が求められるからです。失敗は許されないため「確率で判断するAIは使えない/使いにくい」と批判的に見てしまう面もあるのですが、今回、学んでみて、AIは使えないからダメと決めつけるのではなく、使えるところに活用することで費用対効果も上がって行くと感じました。

並木さん:私も同じです。AIなら何でも出来ると考えていましたが、講師の方の「AIは万能ではなく向き不向きがある。何でもAIを使えばいいわけではない」という言葉が印象的でした。AIでなくともRPAでも良いし、それこそExcelのマクロでも良い。その基礎が分かっているとプロジェクトで話がしやすいと思いました。

今すぐ何かでAIを使うということはないのですが、課題に対してどのようにAIを使えば良いのかを検討する知識は身に付いたように思います。

内藤さん:「AIはアジャイル開発すべき」と講師が仰っていたのを聞いて、私もアジャイル開発をもっと推進していかなければならないと改めて思いました。社内ではまだウォーターフォール開発が主流なのでとても考えさせられました。

また、AI活用というと情報データをどのように活用するかに重点を置きがちでしたが、テキストに「AIは人を補完するために活用する」と書いてあったのが印象的でした。そのような根本的なところに目を向けさせてくれたのは有意義でした。

 

受講されてみてAIのイメージは変わりましたか?

一宮さん:AIのイメージが変わることはありませんでしたが、AIは何でもできるというより、特定の分野で、しかもちょっとした計算ができるくらいものと捉えるようになりました。「AIだと何でも出来るんでしょ」と言われたときに「ここまでしかできません」と提案できるようになると思うので、研修を受けて良かったと思っています。

並木さん:AIって訳が分からなくて怖いもの、というイメージだったのが、内藤さんが「AIは人間を補完するために活用するもの」と言われたように、あくまでも人間ありき、ということが明確になった気がします。倫理を守ってAIを使えば、人間にできなかったことが可能になると改めて分かりました。

 

内藤さん:数年前だと「chatbot(チャットボット)」をサイトで検索してもあまりAIに関する情報はなかったのですが、今だとたくさんの情報が出てきます。しかも多くの企業がさまざまなサービスを展開しています。そのスピード感は凄いと思います。そのため、どこからどこまでがAIかを見極めるのが難しくなっています。AIがカオスになっている分、AIをちゃんと知っておかないとAIの提案ができなくなっています。今ではクライアントもAIを知っています。ちゃんと説明しないと納得してくれません。そのために基礎を学んでおくことは有意義だと思います。

 

経験豊富な講師で机上の空論でないところがいい

講師はどうでしたか?

一宮さん:AIのシステム運用やAIの導入プロジェクトを複数行ってこられた豊富な知識の許、分かりやすく説明して頂けました。既に公開されているものに関しては画面を表示し、具体的に実演もして頂きました。説明が分かり易くて素晴らしいと思いました。

並木さん:私も同じ感想になってしまうのですが、実務でやっていらっしゃるので、知識だけの机上の空論でないところが良いと思いました。「実際にこのような課題に直面したことがあります」と実務の話を交えて説明して頂けたので説得力がありました。

内藤さん:知識がすごくある講師なので、「どこの国がもっともAIが進んでいますか?」という私の質問にも「中国とインドです」という回答ばかりか、その理由まで説明してくださいました。とても頼りがいがある方だと思いました。私としてはワークショップに参加することが多く、3日間座学というのはあまりなかったので、座っているのが少し辛かったのが感想です(笑)。

 

テキストはいかがでしたか?

一宮さん:初日に約300ページある、分厚いテキストを渡されたのですが、メモ用の空白が多かったので安心しました。内容は期待通りのレベル感でした。

並木さん:私も最初、その分厚さに圧倒されましたが、講義の中で分かりやすく説明して頂いたので理解しやすかったです。

内藤さん:ただ、分厚いだけでなく、中身は相当充実していました。それだけのものが作れることは凄いと思いました。

 

最後の試験はいかかでしたか?

一宮さん:試験のために特別、勉強はしません。私はG検定を持っているので、その知識を使いながら解いたので。その知識がなければ3日間の講義だけで、自習をしないで臨むと厳しいだろうと思うくらいの内容でした。

並木さん:受ける前は3日間だけの講義で大丈夫かなと不安でした。でも、3日間の講義をちゃんと聞いていればちゃんと分かる内容でした。また、試験前に復習の時間を頂いたので、何とかなりました(笑)。

内藤さん:少し難しかったですね。いきなり試験ではなく、一週間くらい開けて欲しかったくらいです(笑)。

 

◎AIの知識を得てからプログラム言語を学ぶのがいい

─AIを学ぶことはこれから重要になって行くと思われますか?

一宮さん:従来ならAIを勉強するのはエンジニアだけでした。でも、今では、少なくともAIの基礎的な部分については、すべての人が学ばなければいけない時代になっています。AIの資格はこれからも増えて行くのではないでしょうか。

並木さん:私もエンジニアではありませんが、知識があるのとないのとでは大きく違うと思います。技術的なところはエンジニアにお任せするにしてもその前段階でのミーティングもやり易くなると思います。

内藤さん:AIと聞くとプログラムの話になって、プログラム言語のPython(パイソン)を学ぶ、という話になると思うのですが、AIの知識を身に付けることで、なぜPythonなのかが理解しやすくなると思います。つまり、Pythonを学べ、と言われて訳も分からず学ぶより、AIの知識を得てからPythonを学ぶ方が上達も早くなるはすです。だからエンジニアであってもAIを基礎から学んでおくことは重要です。

 

この講座はどのような人に向いていると思われますか?

一宮さん:技術的なところを学びたいと思っている人には物足りなさを感じるかもしれません。しかし、プロジェクトマネージャーや上の層の人たちが基礎を学ぶには良い研修だと思います。

並木さん:AIに詳しい人より、初心者のAIに触ったこともない人にAIの全体像を理解してもらう第一歩として良いのではないでしょうか。テクノロジーは難しいと思っている人方でもとっつきやすいと思います。

内藤さん:プロジェクトマネージャーとか、上の層の人たちというのは同意見です。エンジニアよりその上の人たちがAIの基礎を学ぶのに最適だと思います。また、これからAIを始めるという人にも合っていると思います。AIを勉強しようとするとG検定を思い付きますが、本研修を主軸として、まずここから勉強するという位置づけになると若い人は入りやすいと思います。

 

今後はどのようなAIを学びたいと思われますか?

一宮さん:上位のカテゴリーがあって、興味が持てそうなら受けてみたいです。できれば実践に役立つ技術的なところをもう少し学びたいと思っています。

並木さん:私も技術的なところ。Pythonをやりたいと個人的には思いました(笑)。できるようになったらやりたいことを実現する可能性の幅が広がると思うんです。

内藤さん:AIを活用したプロジェクトの回し方をもう少し深く聞いてみたいです。でも私は何を学びたいというより、受講された方々とコミュニティみたいなものを作って議論をしてみたいですね。理解が深まると思いますし、次のステップの参考にもなると考えています。

日本は情報処理にAIを活用することは多いですが、人間を補完するために活用するところはまだ進んでいません。そんなところでもAIは役に立つという可能性を知ったうえで、どんなことができるのかの議論できれば良いというのが感想です。

ありがとうございました。

 

 

【プロフィール】

一宮昇平氏

株式会社NTTデータSMS
金融第二事業部
第四運用サービス部 第二ANSER担当
シニア・エキスパート

 

並木華穂氏

株式会社NTTドコモ
法人ビジネス本部 第二法人営業部
第二営業担当

 

内藤晃孝氏

CTCシステムマネジメント株式会社
流通・エンタープライズ運営本部
アプリケーションサービス部
エキスパートエンジニア/チームリーダ

 

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