VeriSM: デジタル時代のサービスマネジメント ~これまで繋がっていなかった要素をITで繋げたらイノベーションが起きた~

「デジタル トランスメーション」という言葉が一般的になり企業でも変革を求める声が高まっている。さまざまな施策、工夫がされている一方で、「何を変革させればいいのか」「そもそもデジタルトランスメーションとは?」と悩んでしまう人も多い。

今回は、EXIN VeriSM™ファンデーションに挑戦した三人にVeriSM™についての印象について話し合ってもらった。

富士通(株) (株)NTTデータSMS     アクセンチュア(株)
濱 綾子さん   佐合 徳哉さん     加藤 明さん

◎ VeriSM™ファンデーションを知ったきっかけ、受講、受験してみようと思ったきっかけは何でしたか? 

濱さん:

仕事上で関係のあるかたに「ぜひ!」と強く勧められたのがきっかけでした。社内でも「デジタル トランスメーションを盛り上げていこう!」という機運があったのですが、エンジニアの私はシステムを「“どう”作るのか」と考えていました。どんなシステムだといいのか、「“何を”作るのか」を考えないといけません。そのヒントが得られると思って挑戦してみました。

佐合さん:

僕も近いです。「デジタル トランスフォーメーション」が語られるようになってきましたが、「具体的にどういうことなんだろう」と考えることが増えていました。ITILをベースに10年ほどやってきましたが、「もう一歩上に行くには」と思い、海外から書籍を取り寄せたりしていてSIAM™やVeriSM™を知りました。ソーシャルメディアで「VeriSM™ファンデーション」の情報を見て、ヒントをもらおうと思って受けてみることにしました。

加藤さん:

私も佐合さんと同じような想いを抱いていたときに、ソーシャルメディアで「VeriSM™ファンデーション」を見たのです。説明の中に「デジタル トランスフォーメーション」というキーワードも入っていたので、ITILとはまた違うフレームワークが登場したのか、と思って受けてみようと想いました。

濱さん:

私に勧めてくれた人も「ITIL以外も学んでみても良いのではないか」と言っていたんです。「“どう”作るか」ならITILは最適。「“何を”作るか」まではITILに求めることはできません。

佐合さん:

ITILは「これをどう作ろう」と掘り下げて、プロセスを深掘り、体系化して組み合わせて再構築していくので「“どう”作るか」では参考になります。でも、現在は「そもそも何を作りたいんだっけ?」「世の中やお客さまにどういう価値を提供したいんだっけ?」を考えることが求められているんですよね。

 

◎   VeriSM™ ファンデーションは皆さんの期待に応える内容でしたか?

加藤さん:

良い意味で「裏切られたな」という気持ちでした。

フレームワークを学ぶというより、経営戦略を考えるのに近い内容でした。ITだけで考えるのではなく、会社にある経営資源の一部としてITを考える。極論になりますが、会社というものを例えば100個のパーツに分けたとき、自分はこれまで1パーツを掘り下げていただけだったことに気づきました。VeriSM™に触れて、残り99パーツが何となくイメージできた気がします。

佐合さん:

「ITILを代替するもの」と考えていたので私も良い意味で裏切られました。

VeriSM™は、これまで培ってきたものをガラっと変えるのではなく、視点を増やして肉付けできる概念でした。ただ、受講してみて新たな悩みができました。「これを具体的な成果に結びつけるにはどうすればいいのか」。「HOW、“どう”」の部分が欲しいなと思いました。

濱さん:

私も受講したあとで「さてこれをどう使おう」と考えていました。具体的に「ここが変わる、改善できる」と言い切れない。受けてみて「良かった!」と思うのですが、「ココが凄いんです!」が伝えづらいと感じました。

加藤さん:

私は経営学部出身なのですが、まるで経営学の授業を受けている印象でした。人事とか法務とか、会社、ビジネスに関わる原理原則を幅広く学べたなという印象です。

濱さん:

以前、弊社でもVeriSM™のセミナーをやっていただいたことがあったのですが、私の部署で同じ仕事をしている人がそれぞれ別の感想を持っていたんです。

「これはデジタルITILだ!」と仰る人もいれば、「いろいろやらないといけなくて大変だね」と話す人もいました。

新卒研修とか大学生向けに、基礎研究、教育として取り入れてみるといいのかなとも思いました。

 

佐合さん:

実はVeriSM™で言っていることは、私たちITエンジニアにとってあたり前のことでもあるんですよね。「お客様が悩んでいることを情報技術を使って解決していく」ことが目的であって、「ITを実装する」ことそのものは目的ではないですね。ただ言うは易しで、既存のサービスや資源が新しいサービスの仕様に与える影響も無視できないですね。我々は既存への追加を考えがちかもしれません。

濱さん:

わかります。最近はAIが注目されていますが、AIは要素技術。日本は「AIを使って何かやろう」と考えてしまいがちですが、海外は「こういうことをやりたい!AIはぴったりじゃないか」と考えますよね。

佐合さん:

ディスラプトは歴史的背景にとらわれると起き辛いかもしれません。

例えば銀行システムにATMを後から追加しようとすると、ATMの維持料を利用手数料で補填する?という発想になるでしょうが、新興国でこれから銀行システムをゼロから作ろうとすると、ATM個別ではなく銀行全体で投資回収ができるサービスを考えますよね。VeriSMはそういう事に気づきを与えてくれるように思います。

加藤さん:

仰る通りだと思います。

それに加えて重要なのが組織としての原理原則を理解することですね。例えばシステムについてお客様と会話するときも「セキュリティ面に問題あり」と言ったITの技術的なことだけではなく、「ブランディングが難しい」「法律にひっかかる」と、マーケティング、コンプライアンス等の観点にも気を配らないといけません。

 

VeriSM™は部署ごと、専門分野だけで話すのではなく、同じ会社、同じビジネスに関わっている同士が同じ目線で語るきっかけになるんじゃないでしょうか。

 

濱さん:

いままでも「ブランディング的にどうか」「業務環境はどうか」を考えていたのですが、より具体的に開発を考えられるようになった気がします。極端ですが、「このプロダクトはお客様の生産性を上げられる」と言っているのに、私たちが深夜残業していたら営業マンのセールストークにも説得力が出ませんよね。

加藤さん:

歴史が長い大企業だと、たくさんの原理原則がありますよね。これがサービスやプロダクトのイノベーションを阻害してしまう。その対策として、子会社を作るとか、合併するとかいろいろ方法があるのですが、各部署がお互いを理解し協力できる体制があれば、「ここは原則のほうを変えるべきでは?」という話しもできますよね。

 

◎   VeriSM™ はデジタルトランスフォーメーションの参考になりましたか?

加藤さん:

私はVeriSM™が企業のステージごとにサービス管理のアプローチを考えるヒントになるとかもしれないと思いました。

市場を圧倒するようなサービスを作っているスタートアップ企業が、立ち上がったまでは良かったものの、「セキュリティを考えていない」「社内のマネジメントができていない」「ブランディングが上手くない」などで消えていく事例もたくさんあります。

VeriSM™に触れることで、会社、ビジネスとして何を押さえるべきなのかを掴むことができます。VeriSM™自体がイノベーションを起こすのではなく、イノベーションを生み出す組織づくりのヒント、その後の体制づくりに役立つと思います。

濱さん:

先ほど、加藤さんが仰っていたように企業規模が大きくなると、原則が増えてサービスやプロダクトにも制限ができてしまいます。

例えば、Uberなど業界を覆してしまうようなサービスも、「凄いんだけど、実際にサービス化するのは難しいよね」で終わってしまう。社内のどこの何が制限になるのかがイメージできれば、企業規模にかかわらずチャレンジできると思いました。

佐合さん:

Uberも要素分解するとそれぞれは斬新なことをやっているわけではないんですよね。

ユーザの動作も「アプリでタクシーが呼べますよ」って同様の配車サービスはほかにもあるし、電話でもあまり変わらない。

でもタクシーがつかまり辛い町で、ドライバに「シェアリング」「レーティング」…とこれまで繋がっていなかった要素をITで繋げたらイノベーションが起きた。“サービス”って目に見えないんですよね。SLA、サービスカタログなどを作って「サービスを具現化して評価しよう」としますが、VeriSM™はデジタルトランスフォーメーションを起こすためには、それだけではなく、背景を含め多角的に俯瞰しなければならない、という事を教えてくれたように思います。

濱さん:

最近、「イノベーション推進室」を開設している企業が増えてきたなと思っていました。サービスを作る上で、組織を横断して原則に合うか、場合によっては原則を変えるかを判断する部隊です。

社員一人ひとりがVeriSM™などを通して会社の経営資源を見直してみれば、「どう作るか」から「何を作るか」という視点が持つことができて、大企業でも「デジタルトランスフォーメーション」や「破壊的イノベーション」が起こせるかもしれませんね。

加藤さん:

VeriSM™に書かれていることはどれも総論では「確かにそうだ」と思うことばかりですが、各論になると「これは難しい」という声が出てくるでしょう。でもそういった声を真摯に受け止めつつ、VeriSM™のアプローチを「当たり前」に変えていかないといけないと思います。

佐合さん:

そういえば、僕は受講しているときに「クセがない」と言っていたんです。「つかみどころがないな」のような感覚でした。ただ、終えてみたあと、自分は「IT目線だけで考えていたな」と思いました。VeriSM™では、ITにもサービスマネジメントにも触れているのですが、「ITによるサービス提供」だけを語っているわけではないんです。

加藤さん:

例えば、僕らITの人間が「VeriSM™いいよ」と言うと「ITの専門家たちのものだ」と思われてしまうかもしれません。でも実際は、企業の中で横断的にサービスや部署を見ている人たちなら、すんなり入ってくる内容ですし、新入社員は「企業、ビジネスってこういうものなんだ」と考える基礎の部分になる得ると思っています。VeriSM™には解はなく、解を導き出すヒントがあると思うといいかもしれませんね。

佐合さん:

ファンデーションでは「HOW」がありませんでしたが、「WHAT」につながるヒントが多かったなという印象です。プロフェッショナルでは「HOW」を増やして欲しいのと、VeriSM™の「サービスとは何か」と定義を見せてくれると嬉しいですね。

 

【対談者プロフィール】

◎濱 綾子氏
富士通(株)デジタルフロント事業本部 デジタルイノベーター推進統括部
VeriSM™ファンデーション、EXIN SIAM™ファンデーション、ITIL Expert、EXIN ISO/IEC 20000ファンデーション、PMP、CMMI 開発アプレイザル、CIWアソシエイトV5など

富士通(株)にてアプリケーション保守に関する標準化、分析、構成、移行サービスの商談プリセールスから導入後まで一貫して担う。
2017年、デジタルフロント事業本部 デジタルイノベーター推進統括部 デジタルイノベーター1期生
現在は、顧客接点高度化ソリューション「CHORDSHIP」導入提案・コンサルテーションに従事。
 

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◎佐合 徳哉氏
(株)NTTデータSMS ビジネス推進本部 ソリューション推進部 自動化推進担当(兼)ビジネス推進本部 ITSM監査部 ITSM監査担当
VeriSM™ファンデーション、EXIN SIAM™ファンデーション、ITIL Expert、PMP、ISO/IEC 20000 Consultant、ITサービスマネージャ(IPA)など

2017年RPAツール「WinActor」の取扱を社内で企画し、同8月より販売代理店として、RPAの社内への普及や外販を開始する。2018年4月より新技術推進部門に同機能を移し、RPAの他、RBAやAI、IoT等の連携・活用を推進する業務に携わっている

 

◎加藤 明氏
アクセンチュア(株)オペレーションズ本部 インフラストラクチャ&クラウド モビライゼーション
シニア・マネジャー
VeriSM™ファンデーション、EXIN SIAM™ファンデーション、ITIL Expert、ServiceNOW SysAdmin/Implement Specialist(ITSM)、ITストラテジスト(IPA)、中小企業診断士など

グローバル企業を軸とした組織変革に伴うSIAMアプローチ及びITサービスマネジメントのプロセス設計、ツール導入、サービスイン後の定着化を支援。現在は、VeriSM™を活用したアドバイザリを実践しながらナレッジシェアできるコミュニティ立ち上げを試行中。

 

 

 

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