今やマルチプロバイダー環境は当たり前。SIAM™の知識でサービスマネージメントを次のステージへ

今やマルチプロバイダー環境は当たり前。SIAM™の知識でサービスマネージメントを次のステージへ

 

 

 

 

~受講者·受験者インタビュー~

ITILやSIAM™のようなフレームワークは、業務の中で得た断片的な知識を構造化し、その枠組みの中でのコンテクストにおける相互作用の理解を深めることで真の価値を発揮する。どちらにも当てはまるのは「共通言語」により広く普及、活用されることを意識していることである。

SIAM™は複数のプロバイダーから提供されるITサービスを、ビジネスの視点から効率的·効果的に管理するための最適な管理手法だ。SIAM™を学ぶことにより現場で身に付けた知識を構造化することが可能となる。

今やマルチプロバイダー環境は当たり前。SIAM™の知識でサービスマネージメントを次のステージへ

今やマルチプロバイダーの環境は当たり前。SIAM™は、ITILに続き、ITサービス管理の進化に有効なフレームワークと語る、ServiceNow Japan株式会社カスタマーアウトカムズ総括本部、アドバイザリーサービス本部、ソリューションアーキテクトの矢落亮一さんにSIAM™の活用方法、可能性を伺った。

 

人にとってやさしいシステムで仕事は面白くなる

貴社の事業内容を教えてください。

矢落:ServiceNowは、エンタープライズ向けのクラウドアプリケーションを提供しています。企業スローガンとして「We make the world of work, work better for peopleTM」を掲げており、働く人たちに対し、人にしかできない付加価値の高い仕事に専念できる環境を作ることを目標にしています。

いまだに多くの企業が、業務をExcelで管理したり、メールで連絡を取ったりしています。付加価値の低いルーチンワークに恐ろしく工数を取りすぎです。そのような業務は統合して自動化し、人にとってやさしいシステムにすることで仕事をもっと面白くできます。そのような取り組みを5年、10年と続けることで、私たちの働く環境は劇的によくなっていきます。

 

矢落さんはどのようなお仕事をされているのでしょうか?

矢落:アーキテクトとして、ServiceNowプラットフォームの技術ガバナンスやベストプラクティスの実装を支援するコンサルティングサービスを提供しています。私が担当するお客様は、大規模で複雑、あるいは先進的で大きなチャレンジをする企業です。そのような企業に対して、どのような技術的な構成や標準を適用すればServiceNowを最大限に活かせるのかをアドバイスしています。

 

とてもお忙しくされているようですね

矢落:おかげさまで日本企業からの引き合いがとても多く、業績も急速に成長しています。ServiceNowはワールドワイドで事業を展開していますが、日本は最も成長している地域のひとつです。仕事が多すぎて嬉しい悲鳴を上げているところです。

 

どうしてそのようにお忙しいのですか?

矢落:ServiceNowが創業したのは2004年ですが、日本法人ができたのは2013年です。日本では、比較的最近のスタートでまだ成長期です。それと、近年、日本で「働き方改革」が叫ばれるようになったことでServiceNowが各方面から注目を浴びているということがあります。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波も来ており、現状にあっていない古いシステムやプロセスを変革したいと考えているお客様が増えていることも追い風になっています。

 

サービス資産情報は統合すべき。

そもそも、サービスを統合する、というのは具体的にど のようなことでしょうか?

矢落:逆説的ですが、まずは、情報やデータを集めることが重要だと言えるでしょう。企業内に分散しているITサービスの情報や運用データをServiceNowのプラットフォームでひとつに集めることです。なぜなら、多くの企業では、情報が点在していて、自社内にどのようなサービス資産が存在し、どのように稼働しているのか、いろんな人に聞かないとわからないのが現状です。それらの情報をひとつに集めるべきです。SIAM™が言っていることはまさにそこですが、資産情報をひとつに集めて可視化するだけでも、コスト削減、コンプライアンス改善などの効果が期待できます。

また、何のために統合するのか、いかに実現するかの議論も重要です。そのためには体験することも大切で、範囲を限定してServiceNowを小さく導入し、効果を実感してみるのがよいと思います。ServiceNowはさまざまなフレームワークを元にできあがっています。導入しやすいところから初めて、段階的に展開することができます。実践と評価を反復的に繰り返すことで、統合とはどういうことか、自分達は何ができていないのか、統合管理することでどんなメリットが得られるのかをより現実的に検討できます。

 

情報を集めていない企業が多いということですね。

矢落:例えば、どのようなITサービスを使っていて、どのような技術要素で構成されていて、どのような契約期間や内容なのか、インシデントや問題はどれくらい発生しているのかなどを統合的に把握できていない企業は多くあります。それらの情報をServiceNowのプラットフォーム上に統合することで仕事のやり方は劇的に変わります。

 

ServiceNowを効果的に活用されているのはどのような部門なのですか?

矢落:一番多いのはIT部門です。ServiceNowのソリューションは三つの領域から構成されています。「IT Workflow」というIT部門向けのもの、「Employee Workflow」という従業員向けのもの、「Customer Workflow」という顧客サービス向けのものがあります。

そのなかでも基礎となるのがIT Workflowです。ITILを中心とするITサービスマネジメ
ントのプロセスです。IT部門が地に足の着いた管理の成熟度に到達しないと、他の領域に広げるのは難しいものがあります。まず、IT部門が自分たちの管理しているデータを統合し自動化する必要があります。カオスの状態から脱出しなければなりません。

また、最近では人事業務向けサービスも注目されています。これもSIAM™に関係することですが、例えば、入社した人の手続きとして、複数のプロバイダーのシステムへの登録やそれに伴う処理、あるいは契約などの手続きが発生します。それを入社直後の人に、自分でやれというのは無理です。入社に伴うITサービスのIDの作成、PCの手配、ネームプレートや名刺の作成、そして、退職時には提供したIDや物品の確実な回収など、社員の入社から退社までの人事的な手続きをEmployee Workflowを使い単一のサービス窓口で管理するのが効果的です。

また、カスタマーエクスペリエンスという意味では、顧客からの問い合わせの接点がメールや電話のみという企業は多くあります。Customer Workflowを活用することで、様々チャネルからくる問合せやリクエストをServiceNowで統合管理することができます。それにより、さまざまな処理を自動化でき、結果として、顧客満足度の向上や競合企業との差別化を図ることができます。

 

忙しい人ほど、集中して学習すべき

お忙しい身でありながら、なぜ、SIAMを受講しようと思ったのですか?

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矢落:直接のきっかけは、私がコンサルティングを提供しているクライアントがSIAM™の資格取得を通じた人材育成に取り組んでいたためです。もちろん、SIAM™のことは知っていましたが、いい機会なので、私の知識を体系化したいと考えました。

 

SIAMのことは気にはなっていた、ということですね。

矢落:そうです。SIAM™はIT組織がビジネスに直面するITサービスを、効率的·効果的に管理するための最適な管理手法です。ServiceNowは、マルチプロバイダーを管 理するフレームワークを支援していますが、そこではSIAM™という言葉を使っていなくとも同様の概念が用いられています。SIAM™のことは記事で読んだり人と話をしたりして断片的に知ってはいましたが、全体を網羅して構造化し、知識を身に付けることで、自分の引き出しを増やせると考えました。

 

どのような形で受講されたのですか?

矢落:同僚の勧める認定教育事業者のコースに2日間通い受講しました。結論を先に言うと、とても満足のいくトレーニングでした。クラスのメンバーとのディスカッションが中心で、講師が説明した後にディスカッション。それを講師がフォローするというスタイルです。

普段、受講生が接しているリアルな世界とSIAM™がどのように関係があるのか、あるいは自分たちの課題をSIAM™はどのように整理してくれるのか。逆にSIAM™が言っていることをどのようにすれば実現できるのかが学べて、とても濃い内容のものでした。

 

具体的にはどのようものですか?

受講生は、サービスインテグレーターの人、コンサルティング企業の人、サービスプロバイダーの人などバラバラでした。その人たちがそれぞれの立場でディスカッションしました。

例えば、SIAM™では、サービスプロバイダー同士が協調してコラボレーションすることが大切とあります。ところが受講生同士でのディスカッションでは、「SIAM™はサービス消費者や顧客組織のメリットに偏重している」「SIAM™は強力な権力を持った大企業しか適用できない」「直接の契約関係のないサービスプロバイダー間の協調は難しい」「SaaSプロバイダーとして、顧客ごとに独自の体制やプロセスは提供できない」「過去にサービスマップを作ろうとしたが、複雑過ぎて途中で挫折した」「ベスト·オブ·ブリードといっても、サービスプロバイダーはそう簡単に切り替えられない」「A社のクラウドサービスは、事前告知なしにある日突然仕様変更する。SIAM™以前の問題ではないか」などの生々しい意見が出ました。受講生はビジネスの関係ではないだけにリアルなディスカッションになり、とても実りあるものでした。

また、ディスカッションを通じて、ServiceNowを客観的に見ることができ、プラットフォームの位置付けや、強みを再確認できたことは大きなメリットでした。そのメンバーとは情報交換もできましたし、今も交流があります。

 

お忙しいのに2日も取られるのはつらくはなかったですか?

矢落:業務を調整する必要はありますが、拘束されることで専念できるメリットがあります。隙間時間に分散して学習するよりも、連続した時間を集中して学ぶ方か効率的です。2日間拘束されるだけの価値はありました。忙しい人はダラダラと勉強をするよりも、2日間、どっぷりとはまる方が効果的です。

 

試験の方はどうでしたか?

矢落:講師の方から「合格率は高いけれど、難しいですよ」と脅かされていたので、必死で勉強しましたが、それほど難しいとは感じずに合格しました。勉強は家でもやりましたが、2日間の休憩時間や自習時間に集中してやりました。

 

今までの業務でもSIAMの手法は取り入れていたと思うのですが、もう、知っていることばかりだったということはなかったですか?

矢落:確かに、経験していたことは多くありました。しかし、「SIAM™で考えればあれをやっていたんだ」と体系的に理解できたことは学びになりました。

例えば、お客様にコンサルティングをするとき、何気なく「マルチプロバイダーのマネジメントを統合する」という話をしていましたが、SIAM™を知ることでその意味を再確認できました。また、知識が体系化できたことで、知識の隙間を発見することができ、そこを埋めてくれたということもあります。日常の業務で知らず知らずにやっていたことに骨格ができたような感じです。

 

今後の業務でも役に立ちそうですか?

矢落:そうですね。今までよりもう一段階高い視点から物事を見られるようになりました。

 

SIAMはどのような人に有効でしょうか?

矢落:IT部門、SIer、サービスプロバイダーのそれぞれの立場の人に有効だと思います。IT部門の方はSIAM™のファンデーションレベルは受けて損はないでしょう。また、サービスインテグレーター、それを取りまとめる立場、あるいは私のようなSaaSプロバイダーとしてサービスを提供している立場の人が、先に進むために理解を広げるのはよいことだと思います。

今やマルチプロバイダーの環境は当たり前です。その意味では、ITILを補完する知識体系としてSIAM™の知識は欠かせないものとなっていくでしょう。SIAM™のフレームワークは、サービスマネージメントを次のステージに移行させる有効なツールとなるでしょう。

【プロフィール】

矢落亮一氏
ServiceNow Japan株式会社

カスタマーアウトカムズ総括本部
アドバイザリーサービス本部
ソリューションアーキテクト

大手精密機器メーカーにて、情報システム部門エンジニアとITサービス事業部のネットワークコンサルタントに従事し、その後、APM製品ベンダーのプリセールスを経て、2014年、ServiceNow Japanに入社。現在は、アドバイザリーサービス部門のソリューションアーキテクトに従事。SIAM™、ITIL、Scrum Master、COBIT 5など様々なフレームワークの認定資格、知見を活用しながら、ServiceNowのテクニカルベストプラクティス適用を支援するコンサルティングサービスを提供中。

 

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