SCSKが目指すビジョンのためにはSIAMが必要不可欠。SIAM資格者を増やしIT業界をリードする

~SIAM 人材育成企画者インタビュー~

昨今、外部環境は著しく変化している。クラウドに代表される新しいサービスが次々に登場するドラスティックな環境だ。そのため、複数のベンダーを活用する「マルチソーシング」が前提となっており、サービスインテグレータのニーズが増加している。

このような時代では人材開発も進化する必要がある。そのためにSCSK株式会社が選択したスキルが、SIAM(Service Integration and Management)だ。

社員にSIAMファンデーションを受講させることを企画した、SCSKの製造・通信システム事業部門 事業推進グループ 海保(かいほ)祐文さんと製造システム事業部門 製造システム事業本部 師岡(もろおか)誠さんにSIAMの活用方法、可能性について伺った。

SCSK株式会社 海保 祐文さん    SCSK株式会社 師岡 誠さん

 

◎変革をしなければいけないステージにきている

─どのような課題があったのでしょうか?
海保さん:
当社は、住友商事グループのITサービスカンパニーです。一般的には「SIer」と呼ばれており、システムを構築する際、ユーザーの業務を把握・分析し、ユーザーの課題を解決するシステムの企画、構築、運用サポートなどの業務すべてを請け負っています。

実は今、業界では「SIerはこのままでいいのか?変革をしなければいけないステージにいるのではないか」という議論が起こっています。当社は従業員が約12,000人。売上が3,366億円という規模。それを支えていたヘッド・カウントのビジネスは今後、厳しくなって行くだろう、と考えています。

そのため、中期経営計画では、ITサービス市場の構造変化を捉え、「サービス提供型ビジネス」にシフトすることを掲げています。当社は8,000社を超える企業との取引があり、お客様に直面する常駐型のサービスも多く存在します。その顧客接点を活かしながらビジネスモデルを変革し、サービス価値を高める必要があります。

また、当社は、クラウドはもちろん、アプリケーション開発、運用、常駐からセンターサービスなど、ITに関わる全てのラインアップで事業を展開しており、総合的なIT企業だとは言えますが、総合力を発揮するには組織的な横の連携とサービスの複合化が重要であり、今後は、それを強みにして行かなければなりません。

◎社員にSIAMファンデーションを受講させることを企画

─なぜ、社員にファンデーションを受講させることを企画したのでしょう?
海保さん:
3つの理由があります。

1つ目は、外部環境が著しく変化しているからです。市場はクラウドに代表されるように、新しいサービスが急速に広がる、ドラスティックな環境です。そのため、複数のベンダーを活用するマルチソーシングが必然となっており、『サービスインテグレータ』のニーズが増加しているからです。

2つ目は、戦略的パートナとしての役割です。当社は、「サービス提供型ビジネス」へのシフトを目指すうえで、お客様の戦略的パートナとして、サービスの統合・管理を行い、ソーシング戦略を実現しなければなりません。

3つ目は、人材開発の強化です。当社のスキル認定制度ではITILは必須資格となっており、すでに基礎知識として社内に広く浸透しています。現在、ITILエキスパートは国内最大数だと自負しています。とはいえ、人材開発もさらに進化させていく必要があります。次のIT必須スキルとして選択したのがSIAMでした。

 

◎高度のスキルを身に付ける必要があった

─SIAMのどこを評価したのでしょうか?
師岡さん:
私は、本部内での人材育成を担当しています。我々は「人が財産であり、人に投資をするために教育がある」という観点から人材育成に取組んでいます。当社には会社の文化を活かしながら人を育てる環境がカルチャーとしてかねてからあります。ドラスティックに環境が変化して行く、ビックウェーブがやってくる時代では、どのような教育が必要かを、改めて見つめなおす時期に来ていたのです。

海保さん:
ITの重要性は今後、ますます高まって行きます。そして求められるものは高度になっていきます。それに対応する人材もまた、高度なスキルが必要となる。人材育成そのものが、これからの重要なテーマなのです。

師岡さん:そのなかで、ひとつのスキルを特化させるのではなく、マルチスキルを身に付けてもらう意味で、SIAMは効果的だと考えました。

海保さん:
我々がシステムインテグレータからサービスインテグレータにシフトしようとしていたなか、SIAMは、まさに、我々が目指す先を定義付ける知識体系でした。

我々は多くのお客様とのお取引がありますが、どのお客様をとってもひとつのサービスですむことはありません。必然的に複数のサービスやベンダーを扱わざるを得ず、アウトソーシングするしかない。アウトソーシングの流れで言うと、マルチソーシングに確実になって行く。それを明確に述べていたのがSIAMしかなかった。それで採用をしました。

 

顧客の戦略パートナになる

「サービス提供型ビジネス」とは、どのようなことを目指しているのでしょうか?
海保さん:
狭義には月額課金やサブスクリプション課金の活用型のサービスを「サービス提供型ビジネス」と呼んでいます。SIでは従来、開発などはヘッド・カウントで試算していたのに対し、提供形態を変えて、長くお付き合いをする。そして、サービスを統合管理する、というスタイルに変えて行きたいと考えています。次の時代の一手としてそういうことを考えている、ということです。

SIAMは、複数サービスを取りまとめてサービスを最適化して提供するための管理手法。「サービス提供型ビジネス」はその発想とも合致します。インテグレーションしてマネージメントするというスタイル。まさに戦略的パートナに必要な方法です。

 

従来の教育体系に変化させる時代

─今回、受講を企画した目的を改めて教えてください。
海保さん:
今回は、あえてITマネージメントの部門ではなく、アプリケーションを開発・保守を担う部門から選別した16名にSIAMを受講してもらいました。
それはなぜかと言うと、私が社員の「意識改革」と「ジョブチェンジ」の必要性を強く感じていたからです。

アプリケーション開発・保守の担当は、従来であればPMや開発技術の資格を取ってもらう、というように、比較的、サービスマネージメントからは離れていましたが、お客様との距離は近いという特性があります。我々はアプリケーション開発・保守の担当であってもサービスインテグレータを目指さなければいけないと考えています。

ただ、受講者は難航したようです。それはそうでしょう。今までJavaをやっていたエンジニアが急にプロセステクノロジを学ぶのですから、少しとっつきにくいはずです。しかし、結果的には全員、SIAM資格を取得できました。

アンケートを取ったところ、内容は高度だと感じる人もいれば理解できたという人もいて、個人差はありますが、研修の趣旨は概ね理解してくれたようです。

 
師岡さん:
今回、受講してもらったのは、IT技術者として長い間、お客様と接しているメンバーです。もともとさまざまな知見を持ってはいますが、サービス視点の標準的な知識体系には触れていなかった。そのメンバーに、今後「サービスインテグレータになろう」というメッセージを社内に広めてもらうことも目的としてありました。

海保さん:
今までは、お客様が決めた要件に沿って開発する、といったポジションだったのに、もっと自立した発想に転化させなければいけない、という視点は受講者にとって新鮮だったのではないかと思います。

 

◎SIAMでも業界をリードしていく

 
今後の展開をどのように考えているのでしょうか?
海保さん:
我々はまず、「サービス提供型ビジネス」へのシフトというのが全社計画としてあります。そして、「サービスインテグレータへ進化」しなければいけないというテーマがあります。この2つを実現することで、お客様への「サービス価値を最大化」させます。

今後もSIAMを理解できる人材を増やし、顧客視点で活動する、当社ならではのアウトソーシングサービスを作り上げたいと考えています。

アウトソーシングは幅が広く、特徴の出しにくい分野です。だからこそ、我々の特徴を創造し、アピールして行く必要があります。そのために、ITILの資格保持者が業界では最大級なのと同じように、SIAMでも業界をリードする企業にしたいと考えています。

お客様に接する人材をサービスマネージャと呼び、戦略を支援する人材にする。そのための知識を付けてもらう。それは我々がさらなる高みを目指すためです。

師岡さん:
今回のメンバーは各部署にフィードバックしてもらうことを想定して選んだ精鋭部隊でした。今後は、メンバーを中心に勉強会を開くことも考えています。そうして、視点のシフトを浸透しつつ、次の受講者を選ぶことを考えています。

海保さん:
ただ、SIAMはファンデーションですが、アッパーレイヤーへの教育と位置付けています。入社10年と言ったある程度のレベルまで行った人をピックアップしているので、急に増やしていくことは難しい。そのため、適宜行うことを考えています。

当社ではITILはスキル認定制度に位置付けられていますが、SIAMはまだ、そうではありません。しかし、制度を待っているとタイムラグができる。私達の部門では、制度ができるのを待たずに一歩先を行こう、という発想から取組みました。でも、しばらくすると制度が追い付いてくるでしよう。やがて当社ではSIAMは必須の制度にしたいと考えています。

 

【プロフィール】

◎海保 祐文氏
SCSK株式会社
製造・通信システム事業部門 事業推進グループ 担当部長
ITO、データセンター事業を担当後、各種クラウドやITSMのサービス企画・開発・運営に従事。
現在、ソーシングビジネス推進における担当部長として活動。

 

◎師岡 誠氏
SCSK株式会社 製造システム事業部門 製造システム事業本部
本部人材育成担当、自社開発標準導入推進担当

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