サービスインテグレーション時代のマネジメント手法、SIAMに期待!

SIAM Professional 有資格者インタビュー~

クラウドサービスの利用が一般的になり、用途や価格に合わせて複数のクラウドを組み合わせる企業も増えてきている。組み合わせるのはクラウドだけではない。ネットワークやアプリケーションなど、所有から利用へ、あらゆるITを組み合わせていくことが要求される時代になってきている。

こうした悩みに活路を見いだそうと注目されているのがSIAM(Service Integration and Management)だ。

今回はSIAM Professionalを受講した野村総合研究所のMDC運用サービス二部の大歳(おおとし)岳さんとクラウド運用ソリューション事業部の白石勇樹さんにSIAMの活用方法、可能性についてうかがった.

野村総合研究所   白石 勇樹さん                              野村総合研究所  大歳 岳さん

 

◎ITILとは また違う物差しが欲しいと考えていた

大歳さん:

プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用するハイブリッドクラウドが主流となり、さらにその先の複数パブリッククラウドを利用するマルチクラウドのニーズが出てきているように、「複数ITプロバイダのサービスを組み合わせて使う」という要件がみられるようになりました。その中で、各社すでに構築、導入しているオンプレミス、クラウドサービスや共同利用型サービスをどう組み合わせていくか、ベストな組み合わせは何か、という、明確な答えがない新しいテーマと向き合っている。SIAMはこれらのキーワードがすべて含まれていたので、ヒントがもらえると思い受講しました。

白石さん:

私もお客様との会話の中で、マルチクラウド、デジタルトランスフォーメーションというキーワードをよく耳にするようになってきました。みなさんITILをベースに運用されているのですが、このような環境変化の中で「ITILだけでは対応しきれないかも…」と感じ始めているかたも出てきているように思います。こうした悩みをどう解決できるのかと考えていて、SIAMと出会いました。

大歳さん:

「ITILを変えなければ!」と大きな課題感を持っている訳ではありません。現場はITILでしっかり回っている。ただ、時代の流れに合うように、新しい考えやマネジメント手法を学び、良いところはベストプラクティスとして常に取り入れて行こうと思っています。

白石さん:

私も大歳さんと同じく、常に新しい考え方を取り入れて行くことは重要だと考えています。その中で出会ったSIAMは、ITILによって個別最適されたものを全体最適へと導いていくものだという印象でした。

大歳さん:

ITILは、「現場を廻す」のに大変参考になるプラクティスが示されています。実際に、弊社の運用現場でもITILをベースとした業務設計やツール構築に取り組んでいます。

SIAMは、「サービスオーナーを支える」プラクティスだと思います。

スピードとアジリティが求められる時代の戦略やアプローチといった概念だけでなく、複数サービスを取りまとめてサービスを最適化していく、サービスオーナー向けのマネジメント手法が書かれていました。欲を言うならば、もう少し具体的な事例やサンプルがあると、より理解が深まったと思います。

白石さん:

これまでは、ITサービスを提供している側がそれぞれのサービスの運営をより良くする手本として、ITILを導入しITサービスの向上が図られてきました。

一方で、SIAMではサービス利用者である顧客の視点で、顧客が利用する複数のサービスをガバナンスの下で統合管理し、エンドツーエンドのサービスの品質を如何にマネジメントするのかという、サービスマネジメントの考え方が整理されています。このことからもわかる様に、ITILとはまた違う物差しであり、まさにこれからの時代に必要となるサービスマネジメント手法だと感じました。

 

◎ケース企業を読み込むことが重要。教科書的な答えとケースに適した答えは別物

大歳さん:

認定試験は「難しい」という印象でした。「ケースに取り上げられた企業に、最も適した答えは何か」を導き出す。教科書的に正しい答えが、ケース企業に当てはまるか、を考える必要がありました。

現実でも、教材で書いていることをそのまま現場のマネジメントに適用することはないですよね?本当に期待した結果を出せるのか、自社の場合は、手を加えないと逆効果になるのでは?と判断しますよね。試験もそんな感じで挑みました。

白石さん:

企業のITサービスマネジメントへのITIL適用で普段から実践している、「お客様の背景を理解し、どの様にITILのベストプラクティスを取り入れて行くのか」という考え方がSIAM Professionalの試験でも生きたと感じています。ケースに取り上げられた企業の背景を理解し、どの選択肢がベストなのかを考えていくといったかたちです。

大歳さん:

講義は二日半で、テキストを使ってディスカバリ&戦略から運営&改善までやりました。テキストで学んだ単語を頭の中で具体的な事例と突き合わせて「これはこういう意味かな」と解釈していけました。「ビジネスケースアウトライン」や「SIAM構造」など、新しいキーワードが新鮮でした。一方で、短時間で一つひとつを解釈、腹落ちさせていくのに苦労しました。

白石さん:

試験は知識ベースよりも経験ベース。ケースは開示されているのですが、質問はそのとき初めて読むもの。四択問題なのですが、質問者が意図していることは何なのかを理解して、選択肢一つひとつを理解しないと回答が導き出せませんでした。

大歳さん:

問題の作りかたが特徴的だと感じました。どれも正解に見える!

例えば、回答の選択が「1.~を議論する。2.~へ指示する」という場合、サービスプロバイダを集めて議論すべきか、トップダウンで有無を言わさず指示を出すべきか?その結果、サービスプロバイダはどう感じてどう動くのか?この判断は、ケース企業のそれぞれの立場で考えないとならず、ケースの読み込みが重要と感じました。

白石さん:

言葉だけ見てキーワードがあるから「これ」という様な選び方はダメでしたよね。SIAMで使われる単語でも使い方が合っていない、このケース企業には合致しないなど、言葉に引っ張られるのではなく、この質問にはこういう解釈があって、この言葉にはこういう意図がある。だったらこの選択肢だろう!と考えながら回答していくことが大事なのだということに模擬試験のときに気付いた気がします。

 

◎SIAMは“未来”を見据える手がかりとなる

大歳さん:

いま、SIAM Professionalで学んだことに自分の経験も盛り込みながら、どう弊社内で生かしていけるかを考えています。今後はツールや人が進化し、AIなどの概念も出てくる。またVeriSMやDevOpsの概念もありますよね。「将来はこうなるのではないか」とイメージして、SIAMもひとつのツールとして盛り込んでいきたいですね。

白石さん:

「SIAMと比べてITILが時代遅れだ」ということではないのですよね。

SIAMによって、ITILも使いどころを見つめ直すきっかけになると思います。これからは多くのITベンダーや社内の部署と協力していくことが求められていくと思います。さらに、VeriSMといった概念も注目される中で、それぞれの利点が上手く出せるように工夫していきたいと思っています。

大歳さん:

銀行や証券などセキュリティ要件が高かった金融の世界でもクラウドを利用するケースが増えています。サービスインテグレーションとそのマネジメント手法は今後、ますます注目されていくでしょう。SIAM自体も、様々な先進事例を取り込みながら、進化していってほしいと思います。

 

【プロフィール】

 大歳 岳氏
野村総合研究所 MDC運用サービス二部
EXIN SIAM™プロフェッショナル、VeriSM™ファウンデーション、ITIL Expert、ITIL Manager, NRI認定ITサービスマネージャ

ITILアセスメント、プロセス設計、ツール導入のコンサルティングを担当した後、データセンターにおけるシステム運用改善、ISO20000運営に従事。
現在、運用アウトソースにおけるアカウントマネージャを担当。

 

 白石 勇樹氏
野村総合研究所 クラウド運用ソリューション事業部
EXIN SIAM™プロフェッショナル、VeriSM™ファウンデーション、ITIL Expert、IPAサービスマネージャ、システム監査技術者、情報セキュリティスペシャリスト

システム運用基盤およびITSM基盤の設計~構築、エンハンスメントを担当し、NRIが提供するクラウド型ITSM PlatformのmPLATサービスの立ち上げに従事。
現在はシステム運用改善やITSMに関する提案やコンサルテーションを中心に活動。

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